おれとコンラッドは晴れて恋人同士になりました、トサ。  物語の終わりなら、こう締めるだろう。  しかし、おれの中ではまだまだ完結する予定ナッスゥイング。コンラッドの赤面した顔を見るまでは、終わりたくても終われないのです。

ハニーハニー

 まず、コンラッドに恥ずかしいという感情が存在するのだろうか。そこからだ。  おれの名付け親兼護衛役兼恋人はスーパーサイヤ人並だと思う。  あ、髪は伸びないし、体から光を発したりはしないけど。  まず、恥ずかしい事をけろっとこなしてみたり、無理だろうって事もけろっとこなしたりする。  ついでにそこら辺の野郎がやったら気持ちが悪い事でも様になっていたりする。ついでに隙もない。  ……無理じゃないですか、渋谷有利さん? 「…な、何か俺の顔についてますか?」 「ううん。あ、嘘。顔を作るのに必要な備品がいくつか」  執務が一段落ついて、おれの部屋で休憩。おれとコンラッドはベッドに並んで座っている。こういう時ってデカイベッドって便利。  おれはじーっとコンラッドの顔を眺めた。眺めて分かった事と言えば、やっぱりカッコイイという事だけ。 「……どうなさったのです?」  少し困ったように整った形の眉をひそめる。まあ、理由ぐらい言ってもいいや。言わなくてもいずれ名付け親兼護衛役兼恋人は気付いて しまう。野性の勘? 「コンラッドの恥ずかしい事って何?」 「は?…いえ、失礼」  今度は目を見開く。コンラッドにしては珍しく表情がよく変わる。 「いやー、こないだは散々恥ずかしい思いをさせられたからさ、仕返し。つか言ったよな?仕返ししてやるーって」 「いや、確かにおっしゃいましたが・・・」 「全裸で木に吊り上げられるってやっぱ恥ずかしい?」 「恥ずかしいとかいう問題では・・・」 「だよなー。じゃあ、女装は?」 「…恥ずかしいというより、屈辱的なだけかと…」 「だよなー。それに、女装はグリ江ちゃんの特権だしなー…」  さっきから話せば話すほど、コンラッドの顔が険しくなっていく。  長兄とそっくりだなーと思いながら、他に何か案は無いかと考える。 「…うーん」  こういう時は発想の転換だ。もしおれだったら何が恥ずかしい?  …人前でちゅーとか?  いや、それってやる側も恥ずかしいから却下!  …じゃあ二人きりの時は?  まだちゃんとちゅーした事無いのに無理だっつーの!  つか、なんで思考回路が段々乙女になってくわけ?!  頭を抱え込む。そんなおれを心配そうにコンラッドが見ていた。  …心配そうな顔はさせれるのになあ。 「…おれって、情けない王様だな…」 「ユーリ?」 「一番身近なコンラッドの事すら何にも分かんなくてさ」  顔は下を向き、膝の上に置いてある手をギュッと握る。  すると、ソッとおれの左手の上にコンラッドの右手が添えられる。おれは思わず上を見上げた。コンラッドは優しく微笑んでいる。 「情けなくなんかありません。人の事が分からないのは当たり前です。それに、俺の事を知りたいのなら、これからゆっくり知って行ってください」 「…これ、から?」 「これから」  にこっりと笑う顔につられておれも笑った。  ああ、分かった。  何でおれはコンラッドの色んな顔が見たいのかが。  おれはコンラッドが、 「好きだ」  だから。  まだ言ってなかった言葉。  言葉にしなくても分かってると思ってたから言わなかったけど、やっぱり言わなきゃいけない事だから。  真っ直ぐコンラッドを見て、もう一度言う。 「好きだ」  コンラッドは空いてる大きな左手で目を覆った。そして大きなため息をはく。  え。なんかおれ、マズイ事言った? 「…コンラッド?」  そう呼びかけた瞬間、コンラッドに抱きしめられる。 「ど、ドウシタンデスカ!?」  思いっきり声、裏返りましたよ…。 「仕返し出来ましたね、ユーリ」 「は? 別にそういう意図の元、言ったわけじゃ…」 「どっちにしろ凄く照れましたし、凄く嬉しかったです」  ん? 今なんて言った?  恥ずかしかった? さっきの目を覆ってたのは照れ隠し? 「別に照れさそうとして言ったわけじゃないんだけど、あれで照れてくれたんなら一石二鳥だ」 「一石二鳥? 何がです?」 「秘密」  おれはコンラッドの背中に手を回し、笑った。  コンラッドも益々おれを強く抱きしめた。 馴れ初めというか、連載というかなんなのだろう。これ。 ゆーちゃんからの告白話でした。 次男萌え死に寸前でした。 背景は甘酸っぱいイメージを出すために… 出てるかかはさておき。 060329 プラウザを閉じてください。
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